最近、人気が高まっている冬キャンプ。でも、寒さ対策が分からない、電源無しで冬キャンプを始めるなんてハードル高くて手が届かない、もしくは、子どもがいるとムリだよねと敬遠されるキャンパーさんが多いです。それで諦めるのはもったいない。結論からいうと、夏キャンプに比べると費用はかかりますがコツをつかめば、ソロキャン、ファミキャンどちらも冬キャンプが電源無しで楽しめます。そこで今回は雪深い地域で電源サイトを利用せずにファミリーキャンプやソロキャンプを経験してきたことを活かし、冬キャンプを始めたいキャンパーさんからよく聞かれる疑問について回答する形で冬キャンプのノウハウについて徹底解説します。
そして、冬キャンプ初心者には気づかない事故や危険性についてキャンプインストラクターの視点から、冬キャンプの事故防止対策についてもまとめました。当記事のキャンプスタイルはオートキャンプ・ファミリーキャンプスタイルに沿って書いていますが、徒歩キャンプやソロキャンプなど幅広く応用可能なノウハウを解説しますので、参考になれば幸いです。
キャンプ初心者でも始められるように丁寧に解説していきますね!
極論【たったこれだけで冬キャンプ可能】
極論ですが幕とシュラフとマット、これらのギアだけで冬キャンプは可能です。もちろん、シュラフは厳冬期対応シュラフ、他にマットや雪風を防ぐテクニックやコツが必要ではありますが。
これはビバーク実験というテーマでキャンプ仲間と共に雪濠を掘り、タープ、冬用シュラフ、サーマレストのマットなどを組み合わせて実際に宿泊した様子です。そしてしっかり一晩眠り過ごすことが出来ました。つまり、探検家のような特殊な環境でなくても、テクニックや適切なギアを用いれば、冬キャンプは可能であるということです。ただし、これは本当に極論で、実際は寝て起きて寒さをやり過ごすだけなので、これだけでは楽しい冬キャンプとは言えません。
私はこの経験で下限を知り、より深く冬キャンプを楽しめるようになりました!
冬キャンプは荷物が多い
それでは本題に入ります。ソロキャンプやファミリーキャンプで冬キャンプを行う場合、荷物の量がとても多くなります。夏のキャンプと比べると1.5倍近くになります。快適な冬キャンプをするためには寒さ対策が必須だからです。
上記写真では伝わりにくいですが、具体的には暖房器具や冬用防寒着、またシュラフやマットも冬キャンプ仕様となるため容量が増します。そしてファミリーキャンプであれば人数分、荷物の量が増えることになります。
そこで冬キャンプを始めるにあたり、フィールドに持ち込むキャンプギアの積載容量を増やしましょう。オートキャンプ(車)スタイルを例として増やす方法はルーフボックスを装備する、または積載テクニックを活かすことで増やすことが可能です。これらの方法の詳細はこちらの記事を読めば実践できます。
私の経験上、ファミリーキャンプの場合は普通車でもルーフボックスが必須です。
冬キャンプのおすすめテント
冬キャンプを始めるために「冬キャンプ専用テントは何ですか?」とよく聞かれますが、私は冬専用テントというものをおすすめしません。なぜなら、私が実際に冬キャンプしてみて、ワンタッチテントや構造が簡易なテントは除き、どんなテントでも快適な冬キャンプができたからです。
よくポリコットン製が良いとかスカート付きが良いという情報を見かけますが、ポリコットンは重いし、スカート付きは凍りやすく撤収が大変です。また私の場合は荒天が多い冬はテントの補修も含めて検討するため、アフターサポート最優先のsnowpeakさんのテントをメインで利用しています。たとえば、ファミリーキャンプの場合は家族の人数と安全性を考慮して、ランドロックを設営しています。
ポリエステル製なので火気や熱には弱いですが、フレーム型なので風や雪に強く乾燥しやすいメリットがあるからです。このように、冬キャンプに適したテントとは自分のキャンプスタイルに合ったテントを選ぶことだと思います。持っているテントが冬キャンプに適しているということもあります。ぜひ皆さんも、こだわりとキャンプスタイルに合ったテントを選び楽しい冬キャンプをしましょう。もっと詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。
ネットによくある「これだ!決定版冬キャンプ用テント!」のような類のテントの選択肢を狭める情報は信用できません。
大人や子どもの防寒着
冬キャンプの服装はどうしてる?と聞かれますが、大人、子どもどちらも共通して冬遊びをするスタイルでかまいません。そして、身体を早めに暖めるように、そして汗や蒸れを逃がしやすくするためにレイヤード(重ね着)を心掛けています。効率的な重ね着を意識することで汗をかきにくく暖かい服装となります。
また靴についてですが、私は足先が冷えるのが苦手なのでmontbellのヴェイルブーツを使っています。厳冬期対応ブーツなので足の寒さを感じない優秀なブーツなのでおすすめです。
子どもの場合は防寒長靴に厚手のソックスです。今までの経験では子どもは寒さに強いため、服と靴共に、この装備で十分でした。
そして着替えについては、こだわると量がどんどん増えてかさばります。そこで私は多すぎず少なすぎずを意識しています。特に子どもは雪遊びに夢中になり汗濡れするので、1泊2日のキャンプであれば3日分も着替えがあれば大丈夫です。またキャンプ中にも乾燥させることができるので、その分を考慮して着替えの量を調整しています。
大人の場合は子どもほど活発に活動しないため、ブランケットや使い捨てカイロを用意することをお勧めします。特に使い捨てカイロは電源不要で長時間得られる優秀な暖房ギアです。
使い捨てカイロは勤務先や学校内で使用する屋内用と設定温度を高くした屋外用があります。冬キャンプには屋外用の使い捨てカイロを購入しましょう。
一番先に揃えたい冬キャンプの必需品は寝具
冬キャンプで一番先に揃えたいギアとなるとやはり寝具の装備が優先です。特に冬キャンプでは設営から撤収までの間で休息時間が最も長いのが睡眠時間です。この睡眠時間をしっかり確保できないキャンプは身体的、精神的にとても辛い思い出として残ります。
冬キャンプでは、寒さ対策がしっかりできていないと心地よい睡眠を得ることが出来ません。最悪の場合、体調を崩して風邪をひいてしまうことになります。そこで冬キャンプで快適な睡眠を得るためには冬用シュラフ、厚手マット、アルミシートが必需品となります。
冬用シュラフの他に冷気遮断の工夫が必要です!
とはいえ、冬用シュラフとマットの種類は多岐にわたるため、何を購入したらよいのか分かりません。そこで冬キャンプの寝床を準備するために必要なものや確認事項は次の通りです。
冬用シュラフは快適温度・下限温度(最低使用温度)が設定されています。そこで私の経験として、より快適に眠るために冬用シュラフの快適温度に、キャンプ地の最低気温に5℃加えた値のシュラフを選びます。また下限温度表示のみの場合はプラス10℃を加えます。また冷気遮断をしっかり行うために、厚手マットは厚さ5cm以上を目安としましょう。最近ではマット性能の基準としてR値(熱抵抗値)を標示しているマットもあるのでR値の高いマットを選びましょう。冬キャンプの思い出は快適な睡眠が欠かせません。費用を惜しまず、適切なシュラフを準備しましょう。さらに詳しい説明についてはこちらの記事で解説しています。
私はキャンプデビューでシュラフ選択を誤り、風邪・発熱という苦い思い出となりました
冬キャンプのおすすめ暖房器具
冬キャンプを行う上で欠かせないのが暖房器具です。ソロキャンプ上級者になると、暖房器具は不要という方もいますが、子どもと冬キャンプするのであれば暖房器具は便利です。そこで、私が使いやすいと思った暖房器具を紹介します。
ソロキャンプでも寒さ対策として暖房器具を使ってます
暖房器具はテント内では使用禁止です
冬キャンプで暖房器具を使用するにあたり、とても大切なことがあります。最近はキャンプブームの影響でキャンプの事故が多くなりました。その主たる内容は一酸化炭素中毒と火事です。その原因となるのが調理火器と暖房器具です。
大前提として各メーカーで幕内(テント内)の火気使用は禁止されています。
暖房器具をテント内で使用することにより火事、一酸化炭素中毒などの事故を引き起こす要因となります。場合によっては死亡事故につながるので幕内は火気使用禁止としています。
コンロの使用による、酸欠や一酸化炭素中毒の危険があるだけでなく、テントに引火することもあります。 これらはいずれも重大事故につながるため、テントの中では燃焼器具類の使用はやめましょう。
日本キャンプ協会 https://camping.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/safety4.pdf
私自身は薪ストーブや火器類を幕内で使いますが、リスクを把握したうえで安全を意識して使用しています。当記事はテント内での火気使用を強く推奨するものではありません。使用に起因して生じる結果はユーザー責任であり、当記事では一切の責任を負わないものとさせていただきます。
しっかりリスクを把握したうえで安全なキャンプを心がけましょう。
おすすめの暖房器具
暖房器具にはガスや電気や灯油などいろんなタイプがありますが、冬キャンプで効率よく暖房効果を得るために、もっとも有効な暖房器具は灯油ストーブです。また灯油ストーブでも電源を使用しない小型反射式ストーブがおすすめです。
キャンプ専用とうたわれる灯油ストーブといえば、マナスルストーブや武井バーナー、最近ではパセコなどの対流式ストーブやオムニストーブが有名ですがどれも高価でなかなか手が出ません。そこで現在も販売されている小型反射式ストーブであれば安価で手に入りやすいので、冬キャンプが始めやすい灯油ストーブです。
また反射式ストーブを使用するメリットは他にも後述で述べますが調理火器として利用したり、濡れた衣服等を乾かすことにも利用できます。
火の取り扱いも比較的簡単なので、女性でも簡単に取り扱うことが出来るのでおすすめです。また灯油タンクは一体型・分離型どちらでもかまいません。ただし、事前にタンクに灯油を入れて運搬することは避けましょう。灯油漏れしてしまい、車内が灯油臭でひどいことになります。安全面からも灯油は専用の容器に入れ持ち運びましょう。
また、「薪ストーブはどうでしょうか?」とよく聞かれますが、準備から運用まで手間がかかるため、冬キャンプ初心者にはお勧めできません。こちらについては別記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
冬キャンプのためのテクニック
基本的な冬キャンプの準備について解説しましたので、実際に冬キャンプを行う上で活かせるテクニックを紹介します。これらは覚えておけば便利ですので、ぜひ参考にしてみてください。
それぞれのテクニックについて詳しい説明はこちらの記事をご参照ください。
これらを冬キャンプで実践することで、より快適にそして良き思い出作りに役立ちます。
ちょっとした工夫をすることで冬キャンプが楽しくなります!
冬キャンプの事故を防ごう
冬キャンプは楽しい半面、ケガや病気または事故のリスクが高くなってしまうのが現実です。その大きな要因は暖房器具の項目でも触れたとおり、一酸化炭素中毒や火災事故により最悪の場合、死に至るケースもありました。また他にも豪雪によるテント崩壊や凍傷など寒い季節だからこそ起こりうる事故もあります。それらの事故を未然に防ぐため次のことに気をつけましょう。
事故起きてしまった!では取返しつきません。冬キャンプは慎重かつ冷静な判断をすることが、もっとも大切なことです
天気予報を確認し、悪天候は中止する決断を!
冬の天気は荒れやすく、そして変わりやすいものです。最近の天気予報は各地点の細かい予報を見ることも可能なので、キャンプを行う予定の3日前から毎日、天気予報を確認しましょう。
大型低気圧や強力な冬型の気圧配置が見られる場合または大雪予報がある場合は、冬キャンプを中止する決断をとりましょう。
フィールドは逃げない!と私は言い聞かせて中止します
防寒対策は万全を期して行う
冬キャンプがかさばるからといって、防寒対策の手を抜くことはやめましょう。例えば、暖房器具があるから防寒着を薄くしたりブランケット等を持っていかないことです。天気予報は良かったとしても現地で急変する可能性もあります。そして暖房器具が何らかのトラブルで使えなくなった時、撤収するにしても寒さで体調維持すら難しくなるかもしれません。リスク軽減のために最悪の事態を想定することが大切です。オーバースペックで困ることはありません。防寒対策は万全を期して冬キャンプに臨みましょう。
大きな火ではなく小さな火を心がける
前述で防寒対策は万全を期することを伝えましたが、それは安易に火器を増やすということではありません。なるべく可能な範囲で火を使わずに防寒対策を行うよう心がけましょう。例えば、寒さが厳しくなってきたら厚い防寒着を着用したり、冬用シュラフに潜り込みましょう。大きな火を使わず小さな火を意識することで、事故のリスクは大幅に減らせます。
私のソロキャンプの暖房器具は反射式ストーブ1台、キャンプ用ストーブ1台のみで調理火器もこれらを利用しています
テントは密閉せず、こまめな換気を行う
冬キャンプを行う上でもっとも多い事故は一酸化炭素中毒です。これは冬キャンプに限らずワカサギ釣りやキャンピングカーでも同様の事故が発生しています。大きな原因は密閉した空間で暖房器具を使用したり練炭など炭を使用することで事故が発生しています。これを防ぐためには暖房器具を使わないことが一番ですが、これでは冬キャンプの楽しみが半減します。そこで一酸化炭素中毒にならないためにテントの長時間密閉を防ぎましょう。具体的にはテントには必ずベンチレーターが付いています。これをテント設営時に必ず開放しましょう。
また、テントの出入り口を開けて換気を行いましょう。頻度としては1時間~2時間に1回は必ず換気を行うことをお勧めします。
せっかく暖まったのに~という気持ちは我慢して換気しましょう
そして目に見えず匂いもない一酸化炭素はどれくらい幕内にあるのか、五感で感じ取れないためストレスを受けて楽しい気持ちを失ってしまいます。これを防ぐためには一酸化炭素を視認できる一酸化炭素濃度測定器が便利です。
安価なものから高価なものまでありますが、なるべく感度が良く信頼性が高いものを選びましょう。ショッピングサイトで購入できるので予算に余裕がある場合は購入することをお勧めします。
私が購入した測定器は警報器の数値上限を変更可能、そして警報もしっかり鳴るのでとても便利です。
子どもから目を離さない
子どもとキャンプをするなら当たり前のことですが、キャンプ中は子どもから目を離してはいけません。幼児から小学校高学年まで子どもから目を離すことは事故を起こす確率を飛躍的に挙げてしまいます。子どもと楽しむために訪れた冬キャンプです。手を離さないように一緒に楽しみましょう。
自分の経験とギアに依存しすぎない
キャンプ歴をある程度重ねてくると、人はどうしても慢心し、そこから予期しないトラブルが発生することがあります。例えば暖房器具を消し忘れたまま睡眠し、不完全燃焼を発生させて一酸化炭素中毒になるなど、慣れているからこそ起こしてしまう事故もあります。また便利なギアに依存し過ぎた結果、電池切れや故障に気づかずトラブルが発生する場合もあります。キャンプの準備、キャンプ中は初心を忘れることなく気を引き締めて冬キャンプを行いましょう。
まとめ
冬キャンプのノウハウについて私の経験と知識をもとに記事を書きました。この中で冬キャンプの必需品、心に留めておきたいことをまとめると次のとおりとなります。
- 電源無しでも冬キャンプは出来る
- 荷物が多いので積載容量を増やす
- おすすめテントは自分のスタイルで決める
- 快適な睡眠を得るキャンプギアを優先する
- 服装はレイヤード(重ね着)を心がける
- 暖房器具は反射式ストーブから始めよう
- アイデアと工夫で冬キャンプはもっと楽しくなる
- 事故は未然に防ぐ心がけが一番大事
かなりのボリュームにはなりましたが、これでも書き足りない部分があります。また私自身もまだ完璧な冬キャンプマスターではありません。誰でも始めたころは初心者です。何度も冬キャンプに出掛けて小さな失敗を繰り返すことで学び、どんどん楽しい冬キャンプを経験し成長できると思います。今回のブログは取返しのつかない大きな失敗を防ぎための記事として、皆様のキャンプライフに役立つことが出来れば幸いです。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!
楽しいソトイクライフをお過ごしください。
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